つきあかりのふくろをさがして
小さなリスのトリが森の友だちといっしょに、なくなった月明かりの袋をさがしに出かける心あたたまる冒険です。
小さなリスのトリは、つゆがきらめく朝になると、かしの木のてっぺんにのぼって森をながめるのが大すきでした。 その日もトリはしっぽをまるめてすわりましたが、森はどこかいつもとちがいました。花びらはうつむき、小川はしずかで、夜になると光る道もぼんやりしていたのです。
そこへ、ふくろうのおばあさんが心配そうに羽を動かしておりてきました。“たいへんだよ、トリ。夜道を照らすつきあかりのふくろが、なくなってしまったんだ。 ” トリの目はまんまるになりました。そのふくろがなければ、赤ちゃんハリネズミたちが夕方に家へ帰れなくなるかもしれません。

トリは小さなかばんに、どんぐりを三つと、あたたかいこけの毛布を入れました。“ぼく、さがしに行くよ。 ” そう言うと、こわがりのウサギのミミと、歌がすきなカエルのボンボンも、いっしょに行くことにしました。三人は、根っこの間に少しだけ残ったきらめきをたどって歩きました。
道の先には、ふわふわの霧につつまれた丘がありました。霧がとても濃くて、自分の鼻さえ見えません。ミミが小さな声で言いました。“こわいよ。 ” トリはそっとミミの手をにぎり、“いっしょに一歩ずつ行こう” と言いました。ボンボンが小さな歌を歌うと、霧は聞いているみたいに少しずつひらいていきました。
丘の向こうで、三人はシダの葉のかげで泣いている赤ちゃん雲を見つけました。ふわふわの腕には、銀色のひもがついたふくろがあります。“お月さまのおもちゃだと思ったの。 でも重くて、おうちに帰れないの。” 赤ちゃん雲はしゃくりあげました。トリはしかりませんでした。どんぐりを一つ差し出して、“だいじょうぶ。いっしょにもどそう。 そうしたら、みんな道が見えるよ” と言いました。

友だちは、つきあかりのふくろをみんなで持ちました。ミミは長い耳で風の音を聞き、ボンボンは道に迷わないように歌い、トリは先頭で光る石を数えました。 とうとう一番高いかしの枝にふくろをかけると、やさしい銀の光が森の道いっぱいに流れました。
その夜、赤ちゃんハリネズミたちは、光る道をたどって無事に家へ帰りました。ふくろうのおばあさんはトリの頭をなでて、“小さな足でも、勇気の心を持てば遠くまで行けるんだよ” と言いました。トリは友だちとこけの毛布を分け合い、月明かりの下でにっこりしました。森はまた、あたたかく明るく、すやすや眠りました。
The End
今日のお話はここまで
心に残った場面を、親子でゆっくり話してみてください。
ADVERTISEMENT